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形で謡う

――――醸す

私にとって制作はお酒造りと同じ様なもので、自然や人間の手による物事が、自分の中で哀しいこと、うつむくような事そんなことさえも楽しくなる発酵、醸し出し、人に楽しんでもらえばいいと思います。

詩人が言葉を醸すなら、わたしは形状を醸すのです。

 

――――詩を謡う

詩人は世のあらゆる出来事・森羅万象を見て感じ、独自の言葉に翻訳し表現しています。単に見たままではなく、また情調(センチメント)のための情調を表現することでもなく、あるいは幻覚を描くことでも、またある思想を知らしめる為でもないでしょう。

むしろそれらの物を通じ、心の震えの感情そのものの本質を凝視し、感情を流露させることです。

私が創る詩はそうありたいと願い、また言葉で詠うのではなく陶という素材で詠いたいと思っています。

酒造りと同じように感じたことを醸し出し味わってもらうように、そのようにして出来上がった形は私の造形言語であり、実存する物体~立体造形となった詩なのです。

 

――――翻訳作業

作品はいわゆる工芸ではない印象を持たれることが多いです。古代の埴輪や陶俑といった陶でできた人形を現代語に訳すように制作しています。

伝統というものはただ単に復唱することではなくはなく、新しい時代にあった翻訳をするといった作業だと思います。そういった意味では自作達は伝統工芸なのかもしれません、しかし単なる工芸品だということではなく心の表現でありたいと思います

 

 

 

月は様々に形を変え、人は様々に思いを馳せたりしますが、月だという認識には違いがないように、作品に自身の心がうまく表現できていれば見え方(解釈)が違うだけで根っこは同じ理解をしていただけると思います

 

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